「バズ」を狙うために意図的に過激な内容に
そもそもこの動画を制作した市も、万人受けするコンテンツとしてこの動画を制作したとは考えづらいでしょう。意図的に大胆な内容で制作し、話題性を持たせたと考えるのが自然ではないでしょうか。 奇抜なコンテンツを制作すれば、ソーシャルメディア上で爆発的に多くの人に取り上げられる、いわゆる「バズる」可能性は上がるといえます。「バズる」こと自体は、奇抜で意見が人によって分かれるようなコンテンツを作成すれば、さほど難しくないかもしれなません。問題は、「どのように、バズる」かであり、この動画の場合は、完全に目算が外れ、全世界にネガティブな意味で解釈され、伝わってしまう結果となりました。
「バズ」の功罪
そもそも、「バズる」ことで得られるものは何なのでしょうか。ネット上で、「バズ」れば、たちまち多くのまとめサイトなどに取り上げられ、幅広い層にその話題、トピックを認知させることが出来ます。このケースで言えば市の知名度があがり、うなぎの産地であるという事実は、広く知れ渡ったといえるでしょう。その一方で、「炎上した地」というネガティブなイメージを広く持たれてしまったともいえます。そして一定期間が過ぎると、炎上した経緯や理由は忘れ去られ、単純に「炎上した」という事実だけが残ります。
組織内での意思統一を
上記は地方自治体での事例ですが、多くの企業は、プロモーションがインターネット上で話題になることは有効な手段だと考えるのではないでしょうか。批判を恐れ、無難なプロモーションになってしまえば、そもそものプロモーション効果が低いと考え、「攻めたい」と考えるマーケティング担当者も多いのではないかと思います。 しかし、バズることで注目を浴びて結果多くの人の目に触れるプロモーションになったとしても、一定期間過ぎたあとは「炎上した企業」として企業全体のイメージに損失を与えることも多くあります。そこで肝心なのが、「攻め」と「守り」のバランスです。
プロモーションを実施する際は、効果的なプロモーションと炎上防止の観点から、事前にどのようなリスクが起こる可能性があるのか、企業の方針としてどの程度のリスクならば許容するのかをまず事前に決めておくことが重要です。その上でプロモーション開始後から一定期間モニタリングを行うなど、しっかりリスクを押さえつつ、攻めていくという試みが今は求められているのではないのでしょうか。