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スマイリーキクチ氏が語る
「ネットにおけるルールとモラル」
~ネットだからこそ、言葉に気をつけよう~

2018年02月07日

※ネット風評被害に遭った経験をもつタレントのスマイリーキクチ氏にご寄稿いただきました。

アートボード 5


今年の1月20日、奈良県安堵町の男性町議(59)が自身の職業や名前を明かしたFacebookのアカウントで特定の議員数名を名指しで「極悪非道の在日Korean」や「両足を牛にくくりつけて、股裂きの刑にしてやりたい」などと差別的な内容を書き込んでいました。書いた本人は批判のつもりでしょう。

しかし第三者から見れば明らかに批判の域を超えていて、中傷や脅迫的な文言に見受けられました。この件はネットニュースだけでなくテレビなどの報道でも取り上げられて、一夜にして注目を集めました。小さな町がこんなことでネットニュースや報道される。皮肉にも町名が「安堵」(気がかりな事が除かれて安心すること)とは真逆ですから、町民の方々も青天の霹靂だったと思います。町議といえば代表者のような存在なので地元のイメージダウンなってしまいました。

実際にFacebookの書き込みは町議とは思えないような内容で、色々なサイトにある政治家の噂話などの都市伝説的な陰謀論を全て真に受けてしまっているようでした。
町議の男性がテレビのインタビューで泣き崩れながら謝罪をした後に、ヘイトスピーチについて問われると、先ほどとは打って変わって正当化するように興奮した口調で話し始める。まるでジキルとハイドのような感情の激しさに驚きました。


ネットなら何でも書いていいのか?

怖いのはデマを見抜けないのではなく、デマを認めない人です。この一件で町議会には批判の電話やメールが相次ぎ、25日に本人が議長に辞職願を提出して受理されました。このようなことをネットに書き込めば、町議としての資質だけでなく社会的信用を失うのは当然です。

Facebookは知り合いしか見ていないと錯覚したのでしょうか。世界中に情報を公開していることの意識が欠けていたように感じました。ネットに不用意な投稿をすれば、たった5日間で人生が狂うのです。本人は人権侵害やヘイトスピーチについて全く認識がなかったとのことですが「ネットなら何を書いてもいい」そう思い込んでいる人が普通にいます。しかも差別という意識がない人も存在して、その人たちは正しい歴史認識だと主張し、差別ではなく正論だと訴えるそうです。

ヘイトスピーチにも境目があって、個人を特定して差別的な書き込みをすれば非難されますが、国全体を指しての差別だと非難の数が減ります。実際にその国の姿勢や在日の方々を批判したり中傷を繰り返すことで、ある一定の人達から支持を得て区議選で当選した議員もいます。ヘイトスピーチは世間から非難されても、ごく一部の人からは自分の代弁者のように見えるようです。差別する人は社会的な地位がある立場の人と共感できることで、自分の思想を正当化できる。集客を狙ってSNSなどにあえて過激な投稿する人もいます。

世間から批判を浴びながらも、その一方で熱烈な支持者を増やす。アメリカのトランプ大統領もそういった側面を感じる時が多々あります。そう考えると、これから人気取り政策としてのビジネス差別が横行するかもしれません。


「言論の責任」

掲示板に書き込む時やSNSに投稿する際に第三者がチェックする訳ではなく、全て自己判断です。本来なら何人かの目を通して良し悪しの判断ができれば良いのですが、現実的には無理なので、ネットの人権侵害や中傷を書き込んだ匿名の人物に対する情報開示の裁判も増加しています。

先日もネットの掲示板に、プロ野球選手の妻のことを「そりゃこのブスが嫁ならキャバクラ行くわ」と侮辱した人物が訴えられました。裁判の末にプロバイダ側から情報発信者が開示されて匿名から実名が明かされました。書き込んだのは20代の会社員の女性で、プロ野球選手から損害賠償金を請求されたそうです。やられた側は本来必要としない費用と時間とストレスを感じて全面的に損をしてしまう、本当に不条理な話しです。

匿名だから身元はバレないと高を括っていたら大間違いです。個人情報の開示の条件は、主に人の生命、健康、生活、財産を保護するために公にすることが必要だと認められれば実名が明かされます。公益性もありますが、これが基本とも言えるでしょう。

ちなみに文句や批判を書いた人が「軽い気持ちでネットに書いてしまった」は関係ありません。書き込んだ側がどうのこうのではなく、書かれた側がどう思うかが重要です。そもそも「言論の自由」に悪口やデマ、中傷・差別や脅迫も自由に含むとは一言も記載されていません。それは自由ではなく「言論の無法」になります。誰しもが「言論の責任」があります。

普段から掲示板やSNSに他人の文句を書き込んだり、閲覧していると「みんなも書いてるから自分も書いていいんだ」と誤解する人がいます。そして「ここまで悪口が書いてあるなら、自分もこのぐらい書いても大丈夫だ」と勝手な解釈で境界線を引いてしまう。特に日頃から悪影響のあるサイトを見ていると感覚が麻痺します。
以前2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の掲示板で誹謗中傷された時に、スレッドの中では僕のブログにコメントを投稿してもいないのに、中傷のコメントを投稿したように見せかけて、周囲にけしかけるような者も大勢いました。無知のドミノ倒しのように中傷や脅迫を書き込んでいた匿名の集団は一斉検挙されて、19名の実名が明かされました。みんなは身元が特定されたこと、ネットの書き込みでも犯罪になることに驚いていたと思います。


「ネットだからこそ、言葉に気をつけよう」

インターネットは正誤に関係なく無数の情報が存在します。自分の都合に見合う答えを見つけたければ、ネット検索ですぐに見つかります。例え情報が誤りでも正解として書き込まれていれば、これは正しい情報だと記憶してしまうのです。他人を批判する際には、その情報源と情報提供者の素性をしっかりと調べる。情報がデマだったり確証がなければ、それは批判ではなく冒涜になってしまいます。

ネットに書き込むということは言葉の証拠が残ります。「ネットだから何を書いてもいい」ではなく「ネットだからこそ、言葉に気をつけよう」という教育と意識を持つことが重要です。
昨年、ネットに事実無根の書き込みをされて仕事先や家族にまで被害に遭われてしまった方とお会いしました。その方が「私はSNSもやってないし、ネットに書き込みをしたこともない。普通の会社員だから、インターネットで誹謗中傷される人は芸能人とか、何か自分でネットに情報を発信している人がやられるんだと思っていました。そんなの関係ないんですね。被害に遭って誰でも中傷されるんだって知りました。」と話されていました。

情報リテラシーやネットのモラル教育もないままインターネットやスマートフォンを手に入れた。その代償が今のネット社会の闇です。いつかあなたを襲うかもしれません。被害者なのか、それとも加害者なのか、ネットモラルと対策を学ぶ必要を改めて感じました。

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日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

デジタルリスク総研は、2007年からソーシャルリスクマネジメントに着目し事業を行っている株式会社エルテスによって、ソーシャルリスク総研として、2016年2月に設立され、ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいりました。そして、2016年11月にデジタルリスク総研と改称し、ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を開始しました。このサイト上では、企業に役立つ実践的なデジタルリスクマネジメントについて、定期的に情報発信を行いますので、企業等のデジタルリスクマネジメントに是非ご活用ください。

※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

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