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BCP対策とスマートワーク環境を取り巻く課題

2018年08月09日

テレワーク・デイズは実施団体と特別協力団体合わせて合計1375もの団体が参加したようです。従業員数1,000人以上の大企業の参加は3割弱ですが、日本全体約3万社の内、8%強しかない大企業の約15%が参加したと考えると、各社の事業継続計画(BCP)へ経験が活かされるのか今後注目されるところです。
そこで、今回はBCP対策の観点で見たスマートワーク環境の課題について取り上げます。

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スマートワーク環境の課題はネットワークにある?

今夏の暑さは災害レベルと気象庁が発表するほどで、これは災害時に出勤できない従業員が増えた場合のユースケースとして、効果測定する上では非常に有益な状況になったと言えるでしょう。テレワーク・デイズという実証実験を通じて、参加団体の多くが様々な課題を発見し、今後に向けた対策の議論が進みそうです。

中でも、ICTに精通しているはずの情報通信業ですら、「ネットワークが問題で会社に繋がらない」「原因は分からないがネットワークエラーが出る」「ネットワークが遅くて仕事にならない」といった声が聞こえてくるほど。ネットワークに関連した課題が続出しました。

こうした声が出た企業には共通点がありそうです。独自システムへの依存度が高い組織で「ネットワークへ繋がらない」という声が上がりました。組織内で独自にシステムを構築したり、組織内システムとの結びつきが強かったりするほど、業務へ影響が出かねない状況になり、その結果、在宅勤務やモバイルワークなどのスマートワークを諦めて出勤するという事態になりました。これは組織外から一斉に来た大量の接続要求や通信量の増加にシステムやネットワークが耐えられなかったことに原因があります。

ちなみに、業務で必須となるメールやスケジュール管理、Microsoft社のOfficeのような文書作成ソフトなどを、Microsoft社のOffice 365やGoogle社のG Suiteなどのクラウドサービスへと移行済みの組織では、作業場所のネットワーク速度への不満はあっても、業務的な影響が出たという声はあまり聞こえてきません。

システムやネットワークが耐えられなくなったのは、多くの組織で仮想プライベート・ネットワーク(VPN)を用いて直接組織内システムへ接続したり、専用の仮想デスクトップ(VDI)環境を経由して組織内システムへ接続したりためです。こうすることで、オフィスにいるときと同じICT環境を利用できるようにすることがスマートワークには必要と考えています。結果として、それらシステムへの負荷集中が発生し、ネットワークが耐えられないという状況を生み出しました。



業務の見直しこそスマートワーク環境の課題解決に繋がる

解決策はシンプルで、ネットワークを増強すること。ただし、今後、スマートワーク利用者が増えていくでしょうから、無限に増強を続けることはコスト的に現実的ではありません。
そこで見直すべきは、『オフィスと同じICT環境を利用できること』という考え方であり、これこそがスマートワーク環境を取り巻く真の課題と言えます。この問題を解決するためには、ネットワークそのものではなく、ネットワークの使い方を変える必要があります。

現実的な対応としては、「ネットワークの利用頻度を下げる」です。VPNやVDIのように常時接続を維持しなければならないとネットワークの利用頻度が上がり、問題が発生しやすくなります。そのため、常時接続を維持せずに、オフライン環境になっても業務が継続できるようにすることができれば、ネットワークの利用頻度が下がり、問題の発生を抑制できます。

オフライン環境になっても業務が継続できるということは、端末内に業務データを残すことになりますが、総務省が出しているテレワークセキュリティガイドライン第4版にあるようにデータに対して、組織外の人が開けないようにアクセス制御を行うなど、技術的な解決策は既に存在します。

冒頭触れた、クラウドサービスへ依存し過ぎるのも、ネットワークの観点からは注意が必要です。クラウドサービスを利用している組織では、テレワーク・デイズ期間中に業務的な影響があまり出ていなかったとしても、組織内システムをオンプレミス型からクラウドを前提としたものへ移行することは、組織の規模が大きいほど困難を伴います。また、組織内からインターネット側へのネットワーク負荷が高まることも副作用として考えられます。そのため、クラウドサービスを単純に利用すれば良いわけではありません。


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日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

デジタルリスク総研は、2007年からソーシャルリスクマネジメントに着目し事業を行っている株式会社エルテスによって、ソーシャルリスク総研として、2016年2月に設立され、ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいりました。そして、2016年11月にデジタルリスク総研と改称し、ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を開始しました。このサイト上では、企業に役立つ実践的なデジタルリスクマネジメントについて、定期的に情報発信を行いますので、企業等のデジタルリスクマネジメントに是非ご活用ください。

※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

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