デジタルリスク総研は、デジタルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元することによって、デジタルリスクを低減させることを目的とした研究機関です。MORE

増え続けるリベンジポルノ!被害に遭わないために必要なこと

別れた元配偶者や元交際相手が相手への嫌がらせや別れた腹いせに、交際時に撮影した性的な画像や動画を無断でインターネット上の不特定多数に公開する行為を「リベンジポルノ」と言います。公開された当人の精神的苦痛は大きく、中高生が被害に遭うことも多いことから社会問題化しています。全国webカウンセリング協議会によると、2013年9月までリベンジポルノの相談はわずかでしたが、2013年10月に発生した三鷹の女子高生ストーカー殺人事件をきっかけにリベンジポルノという言葉がメディアで取り上げられるようになって以降急増、2013年10月から2014年9月の1年間では343件もの相談が寄せられています。そしてその9割が未成年者によるものです。

このような事態を受けて、2014年11月、リベンジポルノ防止法(正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が成立しました。しかし、相談件数は増え続ける一方です。なぜ、若者の被害は止まないのでしょうか。そしてどうすれば防ぐことができるのでしょうか。

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背景①若者の間で広がる「セクスティング」

一つ目の背景として、セクスティング(Sexting)の広がりが考えられます。セクスティングとは、Sex と Textingを合わせた造語で、性的なメッセージや画像・動画を携帯電話で送信する行為を指します。R25が20~30代の女性200人にアンケート調査(協力/アイ・リサーチ)を実施したところ、「恋人に自身の裸(または下着姿)を撮られた/撮らせた経験はありますか?」という問いに対して、16.5%(約6人に1人)が「経験あり」と回答しており、撮影に至った理由の約半数(51.5%)を占めるのが「恋人に頼まれて仕方なく」というものでした。警視庁発表によると、リベンジポルノ防止法施行から1か月で全国の警察に110件もの相談が寄せられており、トラブル相手は「交際相手・元交際相手」が60%以上を占めることからも、親しい相手と遊び感覚で性的な画像・動画を送りあう、セクスティングが広がっていることが温床になっていると考えられます。

恋人に自身の裸(または下着姿)を撮られた/撮らせてあげた経験はありますか?
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恋人に撮られた/撮らせてあげた理由(複数回答)
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背景②気軽に画像・動画を投稿できるSNSアプリの増加

二つ目の背景として、画像・動画投稿アプリの増加があげられます。例えば、その気軽さや親しみやすさから「Snapchat(設定した秒数で送ったメッセージや画像が消える)」「ミックスチャンネル(10秒間の動画を作成して投稿する)」というアプリが中高生を中心に爆発的な人気を呼び、ミックスチャンネルは2013年12月のリリース以来わずか1年で月間動画再生数は4億1000万回を突破しています。一方で、「消える」「10秒間」という触れ込みから遊び感覚でセクスティングを楽しむ中高生も増えており、それが後にリベンジポルノへと繋がることが少なくありません。後に消えるとしても、スクリーンショットを撮られてしまえば転送することも、インターネット上でばらまくことも可能ですが、そのリスクに彼らは気づきません。

背景③リテラシー教育の不足

三つ目の背景として、ソーシャル上のリスクマネジメントに対するリテラシー教育の不足があげられます。若い世代はソーシャルメディアやスマートフォンのアプリを使いこなすリテラシーは高いのですが、インターネット上に自身の性的な画像や動画を流した結果、どういう不利益がもたらされるかという想像ができません。ところが、それを教えてあげられるはずの大人はソーシャルメディアやスマートフォンのアプリ自体を使いこなせず、次々とリリースされる新しいソーシャルアプリの展開についていけないため、リスクを教えてあげることができないというジレンマが起こっているのです。

以上3つの背景から「リベンジポルノ」が生まれ、今も増え続けています。実際に日本では、飲食店アルバイトの店員が店内で撮影した自身のわいせつな画像をTwitterに投稿して炎上したケースがニュースにもなっており、企業が被害を受けることもあります。また、リベンジポルノ防止法制定後には逮捕者も出ており、リテラシー教育がリベンジポルノを防ぐ重要なポイントとなってきます。そしてそのためには、教える側は次にあげるようなインターネットの特性を踏まえておくことが必要です。

インターネットの特性①投稿した記事の「削除」は困難である

ソーシャルアプリ等に投稿した文章や画像・動画は削除ボタンで簡単に削除することができますが、インターネット上に残り続けることがよくあります。例えば、投稿されている間にスクリーンショットで画像データとして保存してしまえば、インターネット掲示板に投稿したり、別のソーシャルアプリに投稿することで、たとえ本人が削除したとしても拡散されてしまいます。インターネット上に他人によって投稿・作成された記事を削除するには、サイト運営者等に直接削除を依頼したり、弁護士を介して法的手続きをもって削除依頼を申請するなどの方法がありますが、拒否されることも多いため削除できる可能性は低く、現実的には一度インターネット上に投稿・作成された記事を「削除」することは極めて困難です。

インターネットの特性②悪意のあるユーザーが存在する

まず、インターネット上には監視するユーザーが存在しています。独自に開発した監視ツール等を使用して、ネット炎上や誹謗中傷の火種となるネタ探しを常時行っており、不正発見を目的とするなど正義感から監視するユーザーもいれば、愉快犯的に監視するユーザーもいるため、特にセクスティングなどの性的な画像や動画は恰好の標的となり得ます。また、一部で「掘り師」等と呼ばれる、パスワードをクラッキングするユーザーも存在しています。特定のパスワードを知っている人だけで画像を共有するSNSでは、プロフィールの生年月日やアカウント名からパスワードを類推され、元交際相手の性的な画像が大量に流出した事件も起きています。インターネット上には、見えないところに悪意のあるユーザーが存在しているということを知っておく必要があります。

ちょっとした軽い気持ちが、後に「リベンジポルノ」へと繋がります。被害に遭いやすい未成年者を守るためには、ソーシャルメディアやそれにまつわるリスクの知識を身につけておくことが必要です。また、企業も被害対象となり得ます。自社の従業員がセクスティングをしていてそれが何者かによってインターネット上に公開された場合、流出した個人情報を「特定」しようという動きが出てきます。セクスティングに限らず、過去にそのような動きがあった際は、勤務先や勤務地まで特定されることがほとんどです。性的な画像や動画となれば、企業のイメージダウンは計り知れません。ソーシャルリスクに対するリテラシー教育をいかに早く浸透させられるか。リベンジポルノ防止には、そこにかかっているのです。

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デジタルリスク総研について

日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

デジタルリスク総研は、2007年からソーシャルリスクマネジメントに着目し事業を行っている株式会社エルテスによって、ソーシャルリスク総研として、2016年2月に設立され、ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいりました。そして、2016年11月にデジタルリスク総研と改称し、ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を開始しました。このサイト上では、企業に役立つ実践的なデジタルリスクマネジメントについて、定期的に情報発信を行いますので、企業等のデジタルリスクマネジメントに是非ご活用ください。

※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

運営者について

デジタルリスク総研は株式会社エルテス内にございます。
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