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炎上参加者はどれくらいいるのか

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 助教/専任研究員 博士(経済学)
山口 真一 氏

インターネット黎明期、多くの人はその可能性に胸を躍らせました。特に、非対面コミュニケーションが飛躍的にしやすくなり、それによる新たなる知の創造が期待されました。実際、ソーシャルメディアの登場と普及は、「普通の人」による不特定多数への情報発信という、今までにない情報発信/共有の形をもたらしました。まさに、コミュニケーション革命といえるでしょう。

しかしその一方で、1つの対象に誹謗中傷が集中する、いわゆる「炎上」は、1日1回以上起こっています。今日もどこかで誰かが炎上している状態です。このような炎上は、ただ対象となった人の精神的・金銭的被害が出るだけではなく、自由な発言の抑止効果も持っており、社会的コストといえます。

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炎上参加者はどれくらいいるのか

では、そのような炎上において、実際に書き込んでいる人はどれくらいいるのでしょうか。2014年に19,992人を対象に行ったアンケート調査は、驚くべき結果を示しました。

炎上事件について当てはまるもの

  • 聞いたことがない7.93%
  • 聞いたことはあるが見たことはない75.37%
  • 1度見たことがある2.77%
  • 2度以上見たことがある12.81%
  • 1度書き込んだことがある0.49%
  • 2度以上書き込んだことがある0.63%

炎上参加者割合1

なんと、1度書き込んだことがある人が0.49%、2度以上書き込んだことがある人が0.63%と、合計してわずか約1.1%しかいないことが分かりました。つまり、わずか1.1%以上の人が、1日1回以上もの炎上を起こしているといえます。さらにこれを1年以内の書き込みに限定すると、0.47%となります。0.5%以下ということは、200人に1人もいない計算となります。一方で、聞いたことがない人は約8%しかおらず、多くの人に炎上は認知されているといえます。これは先ほど言ったような、自由な発言の抑止に繋がっている可能性があります。

ごくわずかの人が起こしている炎上

実は、このように炎上(あるいは荒らし)に参加している人がごく少数であるということは、ネット事情に詳しい識者には認識されています。例えば、ドワンゴ創業者の川上氏は、下記のように述べています。

2ちゃんねるの管理人を長く務めていた西村博之氏によると、「2ちゃんねる上でのほとんどの炎上事件の実行犯は5人以内であり、たったひとりしかいない場合も珍しくない」らしい2

また、次のような意見もあります。

ニコニコ動画では時々、罵詈雑言、誹謗中傷のコメントが飛び交う。画面を見て反発が多いと思いがちだが、指定した人の字幕を全て表示しないという設定を行い、数人のコメントを消すと、荒れていた画面がとても平和になる。つまりひどいコメントを書き込む人は、実は少ない。少数の人が悪態の限りを尽くしたコメントを数多く書き込んでいるので、批判が多いと錯覚してしまうのだ。3
以前、ブログで靖国問題のことを書いたら炎上してしまいました。3日間くらい放置していると、700以上のコメントが付いていたので、IPアドレスをチェックしてみた。すると、コメントしているのはたったの4人4

冷静な対応を

ひとたび炎上すると、多くの人が自分に罵詈雑言を浴びせてきているように見えます。自分の発信内容だけでなく、人格や家族が否定されることも少なくありません。しかし、実際にそれに書き込んでいるのは、ごく少数の人なのです。

そのため、小さな炎上を過剰に気にする必要はなく、冷静な対応が必要といえます。小さな炎上を恐れ、発信を控えたり、すぐ謝罪対応を行ったりというのは、必ずしも得策とは言えません。また、炎上は一過性のものです。少数の人が起こし、その少数の人は別の話題があれば今度はそちらに飛びつくので、たいていの場合短期間で鎮火します。

炎上してしまったら、まず自分に非があったか考察しましょう。それで悪い部分があった場合には謝罪する、そうでない場合は過剰に気にしないのが良いでしょう。非がないのに謝罪した結果立場を悪くした例や、主張をとおして多数の支持を得た例もあります。そして中には過剰に反応(反論)し、むしろ状況を悪化させてしまう例もあります。

  1. アンケートは、インターネットモニターに対して行っています。また、サンプルの偏りを是正するため、他のインターネットモニター以外を含んだインターネット利用時間調査結果を参照し、それによってウェイト付けをしてから推定しています。
  2. 川上量生(2014).「ネットがつくった文化圏」、川上量生監修『ネットが生んだ文化-誰もが表現者の時代』、角川インターネット講座4 序章、角川書店
  3. 遠坂夏樹(2014).「ノイジーマイノリティがTVと世間をつまらなくする」、NewPics
  4. 上杉隆×ちきりん(2009).「なぜブログは炎上するのか? “嫌いな人が好き”の論理」、Business Media 誠

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日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

デジタルリスク総研は、2007年からソーシャルリスクマネジメントに着目し事業を行っている株式会社エルテスによって、ソーシャルリスク総研として、2016年2月に設立され、ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいりました。そして、2016年11月にデジタルリスク総研と改称し、ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を開始しました。このサイト上では、企業に役立つ実践的なデジタルリスクマネジメントについて、定期的に情報発信を行いますので、企業等のデジタルリスクマネジメントに是非ご活用ください。

※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

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