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ネガティブ情報の“負の連鎖”が、評判形成を阻害する

2014年02月18日

「最近名前を聞いたA社。どんな会社だろう?ちょっと検索してみるか」…今や、知りたいことはまず検索、企業に関する評判は手軽に分かるようになりました。こうしたWeb上の情報ですが、自社を知ってもらうために便利に活用できる反面、大きなリスクもあると指摘されています。

昔の書き込みで企業の評判が失墜する?

ここでは、とある「A社」の場合を例に考えてみましょう。
A社は中堅規模のIT関連会社。それなりに実績も豊富ですが、急激に業績を上げてきた分、社員は残業続きだったり、休日を返上したり…といったことが多々ありました。若手が多い分、和気あいあいとして見える面もありましたが、ベテランが少なかったせいか、新人へのマネジメントがおろそかになり、不満を抱えて辞めていった社員が何人もいたとか。

A社の社名は少しずつ有名になっていたこともあり、掲示板で「A社ってどうよ?」「A社の裏側」的なことが語られることも増え、虚実定かではない情報が一時、錯綜していました。ある時、「元A社員」を名乗る人間が、匿名でA社が“いかにブラック企業か”という誹謗中傷を繰り返すようになりました。内容からも、どうやらA社の内実を知っている人間と見えましたが、特定する手立てはありません。A社は根も葉もない話、と放っておきました。

――それから1年後。
A社が自社名でWeb検索すると、検索結果上位に悪評が散見されることが増えていました。過去に辞めた人間が匿名で残した書き込みが、SNSなどで拡散され、話題が“再燃”していたのです。中には面白がって話を膨らませたりした人もいたと思われますが、就職活動をしている人々の間でも話題になっていたようです。

こうして「A社=ブラック」というワードがWeb上に残っていくことになりました。これは、有望な新人を採用するにも悪影響を及ぼすことでしょうし、付き合い先の企業などにとっても、見られたくはない情報です。新たに取引を開始する会社も、こうした情報はチェックしているはずで、企業の評判失墜は避けられない状況となってしまいました。

レピュテーションリスクとその管理が欠かせない

上記のケース以外にも、「従業員がSNSで不適切発言をして炎上」「役員が不祥事を起こし、Web上でも大きな話題となった」というようなことが一度生じると、その内容はWeb上に残り続けることになります。話題や人の噂はいずれ忘れられますが、Web上の情報はなかなか消え去らないもの。

何年かしてから事件を知った人がまた話題にして、それが拡散されて“再燃”してしまうケースもあるのです。古い情報がまた日の目を浴びたことで、新鮮に感じた人たちがさらに共有していく…というネガティブ情報の「負の連鎖」には気を付けなければなりません。

こうした「負の連鎖」が引き起こすリスクとして大きなものが、企業の評判(レピュテーション)の下落です。例えば、評判の下落が原因で次のような損害を引き起こすと考えられます。

 ●企業の信用の下落
 ●企業のブランドイメージ、ブランド価値の低下
 ●役員への責任追及、退陣要求
 ●取引先との関係悪化、取引高の減少・取引停止
 ●取引金融機関との関係悪化・取引停止、資金調達コストの上昇・困難化
 ●格付けの低下
 ●株価の下落 
…など

この評判の下落による損害で、企業の価値が減少するリスクは、「レピュテーションリスク」と呼ばれています。レピュテーションリスクには、商品、サービスに関するものや環境、人事・労務関係に関わるもの、日常生活に関わるものなど幅広く、「企業の社会的責任」に関するものまで様々あると考えられます。「風評」「誹謗中傷」も、レピュテーションリスクの1つといえます。

特にアメリカやヨーロッパなど、リスク管理の先進国ではレピュテーションを企業の重要な資産の1つとしてとらえ、レピュテーションに関するリスクを適切にマネジメントすることで企業価値を向上しようという動きが広まっています。
(参考記事:オンラインの評判管理(ORM)はなぜ重要?


「負の連鎖」はどう断ち切ればいいのか?

評判管理が大事なのはわかったけれど、「負の連鎖」からはどうすれば逃れられるのか?という疑問も当然、あることと思います。しかし、これはなかなか簡単にはいかないというのが現実です。

例えば、匿名掲示板の2ちゃんねるなどでは、話題の削除を求めても、削除対応するケースはないと言われています。また、2ちゃんねるでは1スレッドの書き込みが終了すると過去ログに格納されることになり、一般ユーザーの目には触れにくくなりますが、その内容を「まとめたサイト」や「コピーサイト」等も数多くあります。こうしたサイトは個人で運営していることも多く、削除依頼にも対応する場合が多いといわれていますが、それらすべてに対応するのは難しいものです。

また、ネガティブ情報を検索上位にしないためには、Googleなど検索エンジンの運営会社に有害サイトの削除依頼を行うという方法もあります。しかし、例えば客観性に基づいたユーザーの感想のブログならば、削除依頼は受け入れられない可能性もあることでしょう。

ほかの対策としては、専門の業者に依頼するという手もあります。検索上位から、狙ったURLの順位を下げる=ほかの良い情報のURLを上位に挙げる…という「検索結果表示対策」です。こうしたサービスを行う業者へのアウトソースするという手段を知っておくことも対策の1つとなるでしょう。

今後日本でも、ますますレピュテーション管理の重要性に注目が集まっていくはずです。企業は普段から良好なイメージを作り、幅広くレピュテーション全体をマネジメントしていくことが問われるようになるのです。こうしたことは一朝一夕でできることではありませんが、その積み重ねと、適切なリスク管理が「負の連鎖」の予防につながっていくのではないでしょうか。



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