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「冷蔵・冷凍」宅配サービスの大手運送事業者も、動画1本で“火だるま”に…

2014年04月18日

冷蔵・冷凍品を玄関まで届けてくれる宅配サービスは、多くの人が利用したことがある、もしくは受け取ったことがある、定番のサービスでしょう。しかし、そのサービスに“偽り”があったとしたら…。

1本の動画から始まった“炎上”騒動

2013年10月、大手運送事業者が「冷蔵・冷凍便」として受けた荷物を常温で仕分けしていたことが、ある新聞により報じられました。スクープのきっかけは、その新聞社が入手した「動画」。その動画は、運送事業者の関係者が営業所内で撮影したものでした。関係者が社内の不正を内部告発するために、新聞社に送ったものと考えられます。

この動画内には、保冷用コンテナのドアを開けっ放しにして仕分けする様子、冷蔵シールが貼られた荷物が倉庫内に放置されている様子などがはっきりと映されていて、偽造や“疑惑”ではないことは明白なものでした。

さらにこの動画を提供した関係者は、8月に自らが冷蔵便で発送した荷物の中に計測器を入れ、配達中の温度変化を測定。仕分け中と想定される時間帯には25度以上の温度に晒されていたというデータも添えられていました。

この報道にいち早く反応したのは、やはりtwitterや大手匿名掲示板。ここで注目したいのは、「以前受け取った生鮮品が腐っていたのはこのせいか」といった怒りの声に加え、バイトやパートなどで業務に関わった経験者の声も見受けられたことです。

「自分が働いていた営業所もそうだった」「荷物が多すぎて社内規定を無視してさばくのが慣例になっていた」といった同調、「いや、うちの営業所は厳しかった」「ちゃんとやっている営業所もある」といった擁護など、さまざまなコメントが錯綜。一気に「炎上」に至りました。

高イメージの企業ほど「炎上」によるダメージは大きい

この報道に対する同社の反応・対応は、次のようなものでした。

(1)新聞社の報道当日に公式会見
冷蔵・冷凍便をはじめ、荷物の取り扱いに関する詳細なルールがあることを提示した上で、このルールが守られていない営業所があったことを謝罪し、全国調査の開始を明言。

(2)調査結果の発表
報道から約1か月後にあたる11月末、調査の結果を発表。繁忙期は全国の営業所の4割でルールにそぐわない仕分け作業が行われていたことを謝罪。同時に発表された改善案では、荷物の取り扱いルールの見直しだけでなく、運用が可能なのかどうか、社員教育や管理機能が適切かといった体制の再構築も示唆。


この件について、同社は見苦しい言い訳をいっさいせず、即座に事実を認め、問題が風化する前に改善策を示しました。

ある意味、企業の不祥事対応の手本のような対応といえますが、報道後は同社株が大幅に下がり、電話やメールによるクレームが急増するなど、経営や企業イメージに大きなダメージを与えました。さらに、提示した改善策を徹底するためには、億単位の設備・人員投資が必要とも予想されています。

もともとこの運送事業者は、サービスの良さ、確実性等で、業界内トップクラスの高い評価を得ていました。賛否様々入り乱れる運送業界の中、良いイメージが定着していたからこそ、「○○、お前もか」という落胆や不信感は大きかったのではないでしょうか。

実は「動画」による内部告発が始まりではなかった!

この炎上事件がほぼ沈静化した現在でも、企業名や「常温」といったキーワードで検索すると、数多くの動画やまとめサイトが見つかります。ひとたび公表された動画やニュースは、何回でも複製されてネット上に出回りますので、痕跡を完全に消し去ることは不可能です。

しかしこの事件をよく見てみると、企業が取るべき炎上対策のヒントが見受けられます。この不祥事が公になる前に、実は匿名掲示板やSNSなどにも、従業員や元従業員による内部告発的な発言や、顧客による苦情が2年間ほど書き込み・投稿されていたのです。

これは、ネットの片隅での“些細”に見えるような発言が、その先の大きな事件につながる可能性を示唆しています。もし、この大手運送事業者でも、WEBメディアの「監視」体制が整っていれば、早期に発見して体質改善ができたかもしれません(関連資料:「炎上危機」を早期検知! WEBメディアリスクを監視する具体的手法)。

炎上は一度始まったら食い止めるのは難しく、企業へのダメージも大きく残ります。炎上を防ぐためにも、今一度、WEBメディアをどう「監視」していくか検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事は、マスコミ報道やインターネットなどで公開されている情報に基づいて作成しております。また、本記事は、読者の方々に対して企業のWEBリスク対策に役立てていただくことを目的としたものであり、事案そのものに対する批評その他を意図しているものではありません。

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