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従業員の悲鳴に消費者が同情…“ブラック”牛丼チェーン騒動をデータで読み解く
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2014年06月24日
2014年3月、某大手牛丼チェーンの店頭に張り出された一時閉店を伝えるポスター画像が、Twitterや匿名掲示板に次々とアップされました。閉店の理由は不採算や改装ではなく「人員不足のため」。その背景には“ブラック”と非難される過酷な業務実態が…?
激務を強いられる従業員の悲鳴と、同情する消費者をも巻き込んだ炎上騒動を、当時のデータから読み解きます。

ネット上に苦情、内部告発が次々と…
この問題がネット上で大きな話題となったのは3月下旬のこと。しかしその火種は、2月上旬にすでにまかれていました。どのような経緯で炎上に至ったのかを、時系列に沿って解説してみましょう。
2月7日 某有名牛丼チェーン店、新商品3種発売
すき焼きなどを一人分の鍋で提供する新メニュー発売。皿の数、調理手順がレギュラー商品よりも大幅に複雑化。
2月下旬~ 従業員(アルバイト)の大量退職がネットで話題になる
この頃すでに、鍋定食の販売以降の激務を嘆く書き込みが散見されている。
3月上旬:2月に発売された新商品3品のテイクアウト販売を発表
ただでさえオペレーションが複雑な商品のテイクアウトが始まったことで、従業員の負担がさらに増加。調理や配膳ミスも急増し、消費者も不満を募らせる結果に。
従業員の悲鳴、消費者の苦情がTwitterなどに上がりはじめる。
3月中旬 全国の店頭で「人員不足のため一時閉店」の張り紙が掲出
ほぼ同時に、内部告発によって「各店舗のシフト表」がネット上に流出。1人のスタッフが全てのオペレーション(受注・調理・配膳・下げ膳・清掃など)を行う※店舗、時間帯が多数あることが発覚。
※ワンオペレーション、ワンオペと略して呼ばれる
3月下旬~ ネットで炎上
匿名掲示板に従業員スレッドが立てられる。経営者、起業本部、商品開発担当などに批判の声が殺到。
――さらに、こうした経緯がTwitterや匿名掲示板、まとめサイトなどで多数取り上げられるとともに、ニュースサイトなどにも取り上げられ、多くの人々が目にすることになりました。
数十件だった記事数が、
炎上を機に一気に4,000件近くに!
次に、このネット上の動向をさらに具体的に見てみましょう。エルテス社では、2014年3月1日~3月27日を対象として、Twitter、ブログサイト、ニュースサイト、掲示板サイト、2ちゃんねるといったメディアでの、本話題に関わるキーワードを調査。時系列に沿って、定量・定性の両面からこの炎上事件を検証しました。
<調査対象キーワード>
「店名 新メニュー」、「店名 鍋定食」、「店名 退職」、「店名 人員不足」、「店名 一時閉店」 など
●2月上旬:新商品に関する話題が若干書き込まれていたものの、WEB上では比較的平穏。
●2月下旬:鍋定食提供の負担増から、従業員の不満が顕在化。大量退職が発生したが、WEB上ではまだ騒ぎとはならず。
●3月上旬:鍋定食のテイクアウト化スタートによって、ネット上で話題に(投稿数約1300件)。ただしこの時はまだ「メニューへの興味(食べてみたい)」というポジティブな反応も多かった。
●3月下旬:「人員不足による一時休業」の告知ポスターがTwitterを中心に話題に。その後、匿名掲示板でもすぐに「従業員専用スレッド」が立てられた。上記メディア総計の記事数を見ると、3月20日の投稿は1,500件を超え2,000件にも迫る勢い。翌21日~22日には3,000件台を推移し、ピークの3月23日には4,000件にも迫る勢い。本格的な炎上騒動となった。
…ピーク時には4,000件近い投稿が行われた本事件。そのうち90%が匿名掲示板からの書き込みと確認されています。掲示板に寄せられた意見はさまざまでしたが、大多数が従業員(アルバイト)に同情的な意見でした。
■匿名掲示板に寄せられた意見の一例
――鍋を続けて、本部は何食わぬ顔をしていても そろそろ、現場の人員不足の深刻さは世間に知れ渡るころ。 マスコミが人員不足で「本話題店、閉店」とか「●●のみの販売」で騒ぎ出しそう。 むしろ騒いでくれ。
――無理な要求やサービス残業強要をしてきたら、伝家の宝刀「じゃあもう限界だからやめます」を使え。 特に、空前の人手不足である現在における退職届けはマネージャーに対する最強兵器。
中には、従業員に対して退職やストライキを勧める過激な意見も多数ありました。こうした反響を受け、消費者から寄せられたクレームや問い合わせに対し、経営側は「休業は店舗リニューアルのため」と釈明。問題の根本にある、過酷な労働環境を改善しようという姿勢を見せず、お茶を濁すような対応に終始したことが、さらに火に油を注ぎました。
ネット上に拡散したネガティブ情報は
いつまでも消えない
現在、問題のメニューの販売が終了したこともあり、この炎上問題はおおむね鎮火したように見えます。しかし実際には同チェーンを検索すると、すぐに「店名 ブラック」「店名 一時閉店」「店名 人員不足」「店名 ストライキ」といったキーワードが候補に挙がり、いまだに従業員(アルバイト)確保に苦労しているというのが実情です。
この問題は、ネット上の問題に敏感な若年層にとってなじみ深い“牛丼屋”が舞台だったこともあり、ネガティブな情報が一気に拡散されてしまいました。いかに大手チェーンとはいえ、この悪印象を払しょくするのは、かなり難しい課題となりそうです。
ネットユーザーがどのような話題に活発に反応するのか、話題はどのくらいの速度で拡散するのか、どのような対応が適切なのか…企業はこうしたケースを教訓として、積極的に学ぶ必要があります。
※本記事は、マスコミ報道やインターネットなどで公開されている情報に基づいて作成しております。また、本記事は、読者の方々に対して企業のWEBリスク対策に役立てていただくことを目的としたものであり、事案そのものに対する批評その他を意図しているものではありません。
※2014年6月中旬までの情報をもとにしています。
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