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あなたの大学が「使えない大学」に選ばれたら?雑誌やWEB上に蔓延する統計データのリスクと弊害

2014年10月29日

1位は法政大学、2位が日本大学、3位が青山学院大学。

これは先日『週刊ダイヤモンド』(10/18)が発表した、仕事で「使えない人材」輩出の大学ランキングです。この結果を見て、あなたはどのような感想を抱いたでしょうか?
今回はこちらの事例をもとに、普段よく見かける雑誌やWeb上での統計調査のリスクと弊害についてご紹介します。

ネット上の声

実際SNS上では、「母校を馬鹿にするとはけしからん!」「うちの大学はもっと評価されて然るべきだ」などといった怒りの声や、「母校が使えない大学上位にランクインしていて非常に残念」といった悲しみの声が聞かれ、多くの反響を呼んでいるようです。

特に心配の声が多く聞かれるのは、やはりこれから就職活動を控える学生たち。学歴社会は一昔前の話だと言われ、多くの企業がエントリー時点で大学名は問わないと明言しています。しかし実際には「学歴フィルター」を導入する企業はまだ多く、新卒向け就活サイトを運営する求人広告会社からは、大学名での検索を要望する企業が多いという話もあります。今回このような結果を有名週刊誌が公表したことで、少なからず企業の人事からの大学イメージはマイナスになるかもしれません。ワースト上位にランクインした大学の学生にとっては、たまったものではないでしょう。

調査方法に対する疑念

しかし一方で、この結果そのものではなく、調査方法に対する疑念の声も多く見受けられます。その調査方法がこちら。

ビジネスマン1854人に「使える人材輩出大学」をベスト5、ワースト5まで挙げてもらった。1~5位までをそれぞれ5~1点としてカウントし、「使える」から「使えない」を引いた得点差で序列を決めた。
この調査方法にどのような問題があるのか、一見よく分からないかもしれません。しかし統計学をかじったことがある人であれば、少なからず違和感を抱くのではないでしょうか。

こうした調査の場合、一般的に名前が知られ、卒業生の多い大学が票を集めやすい傾向があります。また、アンケート対象になったビジネスマンの属している企業や職種によっても相当の差が出るはずです。

さらに言えば、「使えない大学」などのランキングを得点差で出したことに、批判が相次いでいます。「使える」「使えない」の総得点における割合として出さないとおかしいのではないか、と。

実際これらの指摘はある程度的を射ていて、心理学や統計学を専門とする大学の教授も、この結果の信頼性や妥当性には疑問を呈しています。だとすれば、今回の「使える大学・使えない大学ランキング」の結果には、なんの意味があるのでしょうか。

世の中に溢れているデータを“正しく”読み取る

今回の「大学評価ランキング」に限らず、世の中には多くの統計データが雑誌やWEB上で公開されています。そしてその中には、統計的な信頼性や妥当性が担保されていない情報が数多くあります。調査結果というのは、結局のところ見せ方次第。調査段階できちんと条件をそろえない限り、バイアスが結果に反映されます。また、見せ方を変えるだけで、全く意図の違う結果を導くことができます。これはほとんどの人が何の疑いもなく目にする、政府が発表する様々な調査結果にもいえることなのです。

このような事実を知ると、統計調査の結果をそのまま鵜呑みにすることがいかに危険であるか、お分かりになるのではないでしょうか。もちろん正しい手順をふんだ信憑性のある統計データは沢山あります。しかし今回の「大学評価ランキング」には、そもそも特集すること自体に問題があるという意見も。このような内容について信憑性に欠ける調査結果を公表することは、発信者側にとっても読者にとっても、リスクが大きかったように思われます。人材採用活動や大学受験など、少なからず社会に影響を与える調査に関しては、一度客観的にそのデータが本当に正しいのかどうか、考えてみる必要があるのではないでしょうか。

WEBの流通が進み、ビッグデータが活用されていくこれからの時代。情報の発信者と受信者の双方が正しく情報を読み取る目を持たなければ、それこそ溢れた情報に振り回されることになってしまうでしょう。


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