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2015年のTwitterは ”公開目安箱” に?!

2015年01月07日

新年、明けましておめでとうございます。年末年始の休暇は、どのようにお過ごしになりましたか?忘年会や、里帰りのついでに同窓会など、何かと外でお酒を飲む機会も多かったのではないでしょうか。
そう言えば昨年末に電車の中で忘年会帰りらしき会社員の方々から「さっきの居酒屋高かったな~」「ぼったくりだよ」という会話が聞こえてきました。
確かに年末の忘年会の時期になると2次会や3次会のお店はどこも混んでいて値段が高いイメージがありますよね。
昨年末には東京・新宿にある居酒屋店が「ぼったくり居酒屋だ」という騒動が起きましたが、この事件はみなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。

そこで今回は、2015年のWEBリスクのトレンドの原点となるかもしれない “ぼったくり居酒屋”騒動について考えてみたいと思います。

居酒屋でお通し代と席料とチャージが同時に発生?!

事の発端は、2014年12月27日(土) 5時3分、とある利用客がレシートの写真と共に「【拡散希望】ぼったくられました。」とTwitterにつぶやきました。レシートをみると、利用人数は5名なのにお通し代は6名分、席料、週末料金、さらにチャージまで金額に含まれています。
お会計の詳細は、

飲食代…22,600円

お通し代…2,400円(6名分/1人当たり400円)

席料…3,780円(5名分/1人当たり756円)

週末料金…3,780円(5名分/1人当たり756円)

チャージ…7,174円

消費税…3,178円

合計…42,912円

よくよく計算すると、
通常の居酒屋であれば、飲食代+お通し代+消費税=

22,600円+2,000円+1,968円=26,568円

で一人当たり5,300円くらいですが、

そこに席料と週末料金と「チャージ」を追加するとなんとお会計が42,912円に!!
一人当たり8,600円くらいに値上がりしています。
一人当たりですと3,300円で、全体では約16,000円も追加料金が発生していたのです。

新宿だからと割り切れればいいですが、せっかくの忘年会もこうした事態になると後味が悪いものになってしまいますよね。

今回が初めてではない?

こうした事態を受けて2014年12月29日(月)に居酒屋を経営している会社の公式HPに謝罪文が掲載されました。

しかしその中で語られていた内容は、「従業員に対して一方的な指導にとどまり、従業員の中には不正な会計処理をしてしまう者がいることを把握できておらず、十分な対策を施しておりませんでした。」というものでした。

いつからこうした事態が常態化したのかは明らかにされていませんが、2014年1年間の席料+週末料金+チャージの総額はいくらになったか気になりますね。

飲食店情報ポータルサイトの店舗情報と今回のお会計のレシートを基に計算をしてみました。

席数…138席
居酒屋の平均客席回転率…1.5回
2014年の週末の日数(金曜日、祝前日を含む)…169日
営業日数…365日(”平日”は196日)
平均単価…2,500円~3,500円(間をとって3,000円)

と仮定して、

今回のお会計に占める
① 席料+週末料金+チャージの割合は、外税で37.08%
② 席料+チャージの割合は、外税で27.56%

すると、

① 週末料金が加算される場合、

138(席)×1.5(回転)×169(日)3,000(円)×37.08%=38,915,089円

② 週末料金が加算されない場合

138(席)×1.5(回転)×196(日)3,000(円)×27.56%=33,544,929円

①+②=72,460,018円

なんと、ざっくりした想定の計算ではありますが、2014年には7,000万円以上の売上を計上していた計算になります。

ネット上ではこれまでも店舗名を繰り返し変更して同様のことを行ってきたとの指摘もありました。

従業員の不法行為は誰が責任を取るべきか

さて、謝罪文発表後の2014年12月31日(水)には再度公式HP上で返金の案内と閉店のお知らせを掲載し本件の経緯等を説明しています。
その中で、本件が起きた原因に関して

・顧客満足度向上を目指すスタッフが評価されにくい店舗体質が認められた。
・社長以下管理者の従業員に対する指導不足が認められた

と挙げられています。
つまり、

・店舗の売上(数字)に貢献したスタッフを評価する社内評価制度を導入していた。
・社長を含め管理者はその制度によって利益を得ていたので、見て見ぬふりをしていた。

と疑いたくなるもの仕方がないかもしれません。

従業員が勝手に今回の事件を引き起こしたかのように説明していますが、今のところ真相は不明です。

しかし、実際には管理者の目の行き届かない現場ではこうした不誠実な行為を、スタッフの独断で繰り返し行っている可能性があるかもしれません。

今回、ネット上では、
「ネット凄ぇ~、昔じゃ絶対分からん」
「ツイッターが役に立った件だな こういうのはどんどん拡散してほしい」

といった意見がありました。

今回のケースは必ずしも全ての企業に当てはまる事例では無いかもしれませんが、適切な社内評価制度のあり方と、現場スタッフが不誠実な行為をしていないかどうかを確認する手法に関して、改めて考えさせられる事件だったと思います。

今年はこうしたTwitter等の情報発信媒体から企業の管理者の目の行き届かない現場に関する情報を発信する ”目安箱” 的な役割をこれまで以上に発揮する年になるかもしれません。

普段から些細なことでもWEB上の情報収集を怠らず、直ぐに現実社会へのフィードバックを行い、リスクマネジメントを実践して頂ければと思います。

エルテスクラウド