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毎年恒例の荒れる成人式、地域全体の印象にも関わります

2015年02月18日

もはや日本の風物詩ともいえる「荒れる成人式」。毎年のように新聞やテレビニュースを騒がしていますが、成人式が荒れている地域は一般の方からどのように見られているのでしょうか。引っ越し先などで地域の評判を調べた際、中々成人式について調べることはないかと思いますが、沖縄や北九州のように、世間的にも毎年成人式が荒れると知られている地域もありますよね。とはいえ、実際に住む人からは住み心地がいいという評判があった場合、その街に住みたいと思うのでしょうか。
住み心地をとるのか、その地域に住む若者の素行のよさをとるのか、アンケートをとってみました。

アンケート結果

【質問】
世間的にも、実際に住んでいる友人からも住み心地がいいと評判の街だが、毎年成人式が荒れているような地域に住みたいと思いますか?

【回答数】
思う:45
思わない:55

成人式は地域教育の縮図?

アンケートの結果によると、全体の55%が「思わない」と回答し、その理由として以下のような回答がみられました。

・成人式が荒れているという事は、教育水準が高くないと感じるので、子育てはしたくない。治安が悪い印象があるので。
・若い人たちが成長したときにどうなるかわからず、今は良くても先々暮らしにくい街になっていく可能性もあるので、実際に住むとなるとあまり気が進みません。
・住みよくとても良い街なのにそんなおバカがいるだけでイメージが悪くなるので嫌です。
・子どもの学力や素行は、地域の特色と密接に結びついていると思うから。

このように、住みたくないと回答された方々は、『成人式が荒れる=教育や治安に問題がある』という印象を抱いているということが分かりました。
たとえ「成人式」という一日限りのイベントだとしても、その一日が対外的に報道されたりネットに流れたりすることがあれば、街全体のイメージは悪くなってしまいますよね。
また、成人式をその地域の教育の縮図だと捉え、成人式を荒らすような若者が育つ地域の教育に疑問を呈している人も。その上で、自分の子供はそのような地域で育てたくないという意見が目立ちました。
たしかに住み心地がいいという評判があっても、見聞きしたその地域の若者の姿が悪印象だと、本当に住み心地がいいのか、治安は大丈夫なのか、不安になってしまいますよね。

住み心地に関する評判の重要性

一方、毎年成人式が荒れていても住み心地がいいなら住みたい、という意見も45%ありました。その理由としては、

・成人式が荒れるのは嫌ですが、住み心地がいいのはすてがたいので住みたいです。
・成人式は行かなければいいだけの話で、住むのには住み心地がよければOK。
・成人式の時だけの問題なら、そこだけ目をつぶればいいので住んでも良いと思う。
・成人式の時だけなんとかやり過ごせばいいから。子供がいやがるなら成人式を欠席させてもいいと思うし。

というもので、大多数の理由が『成人式は一過性のものなので一日だけ我慢すれば大丈夫』というものでした。
確かに成人式は一日限りのイベント。さらに荒らしている人間は新成人のほんの一部なので、気にするに値しないということでしょう。実際そこに住んでいる人からの住み心地に対する評価がよいということは、成人式以外で若者が地域の人に迷惑をかけているわけでもなさそうですよね。
その地域に「住む」となると、やはり住み心地に関する口コミや評判は何にもまして重要なポイントになっているようです。

地域行政としてできること

今回のアンケートでは、成人式を地域の教育や治安の縮図と捉えて「住みたくない」と答えた人と、住み心地に関する評判を重視して「住みたい」と答えた人が約半数ずつという結果になりました。
成人式が荒れてしまう地域の行政担当としては、改善に向けて非常に頭を悩ませていることと思います。アンケートの回答で「住める」と答えた人でも、そのうち27%は「荒れるのは嫌だけど、我慢する」と回答していました。つまり、成人式が荒れる地域に対してネガティブな印象を抱いている人は全体の71%ということになります。このように、荒れた成人式が与える地域全体への悪印象は想像以上に大きいということが明らかになりました。地域のイメージアップを図るためには、早急に何らかの対策を講じる必要があります。

教育的な視点から考えてみると、成人式で騒いだり暴れたりするような若者が生まれる原因の一つとして、個性を尊重しすぎたゆとり教育の影響があると考えられます。ゆとり教育では、個性を尊重するために学校での競争を否定していました。しかし、実際に個性、つまり個人が自信を持てる「何か」を他人に証明するには、競争が不可欠です。勉強やスポーツのような正当な競争では個性を見つけられない若者が多くいる中で、成人式では人と違う何かをすることで目立ち、仲間に一目置かれるための馬鹿げた競い合いが起きるのではないでしょうか。
地域としては、学校教育のみならず学生を巻き込んだ地域イベントなどに力を入れ、若者が自分の個性を発揮できる場を設けていくということができるかもしれませんね。

また、メディア的な視点でいえば、荒れる成人式をなくしたいのであれば、「取り上げない」ことが最も効果的なのではないかと考えらえます。成人式を荒らすような若者は、先述のとおり他の人とは違ったことをして注目されたいのです。荒れる成人式は、ある種の「メディア・イベント」(メディアが取り上げることで、ある出来事が事件として認識されること)ですから、マスメディアだけでなくネット上での「取り上げ」をしない、させないことで、少なからず若者のよからぬ発想を抑制することができるかもしれません。

しかし、成人式の様子にしても、住み心地や治安に関する評判にしても、一度インターネットに流れてしまった情報は半永久的に残ってしまいます。ネット社会と呼ばれる現代、引っ越しや旅行の際はまずインターネットから情報を収集するでしょう。その際、街に対するネガティブな情報を見つければ、それらの候補から外されてしまう可能性も大いに考えられます。

成人式が荒れる地域に限らず、行政として若者の教育や住みやすい・治安のいい街づくりに力を入れつつも、インターネット上の情報を含めて外部からの印象を常にケアしておくことが大切なのではないでしょうか。

<アンケート実施概要>
■調査地域:全国
■調査対象:年齢不問・男女
■調査期間:2015年1月13日~1月20日
■有効回答数:100サンプル

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