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ネット上の有害情報を規制する法律がNZで成立。
日本はどうなっている?

2015年08月05日

先月6日、ニュージーランドでネット上の有害情報を規制する法律「Harmful Digital Communications Act 2015」が成立しました。以下では、この法律の内容に加えて、日本ではネット上の有害情報に関する法規制はどうなっているかについて分かりやすく説明します。

Harmful Digital Communications Act 2015の内容

この法が規制する対象は、個人を害することを意図してなされたネット上の書き込みで、かつ、個人を害すると認められるものです。ですので、企業等の団体を害するものは対象外です。

個人を害するものであるかどうかについては、裁判所が次の要素を考慮して決します。

● 過激さ
● 被害者の年齢と特性
● 投稿の匿名性
● 反復継続性
● 流布の範囲
● 真実性
● 文脈

そして、この構成要件を満たすと認められる場合は、投稿者は2年以下の禁固または5万ニュージーランドドル(約400万円)以下の罰金に処せられる可能性があります(投稿者が法人の場合は20万ニュージーランドドル(約1600万円)以下の罰金)。

日本で同様の法律を作るべき?

このような法律があることで誹謗中傷を未然に防ぐことが期待でき、人権保護やネット社会の健全な発展という観点から有意義なようにも思えますが、それでは、日本にも同様の法律を作るべきでしょうか。また、日本には同様の法律はありませんが、そうすると、ネット上の有害情報は野放し状態ということなのでしょうか。

ネット上の有害情報に限定したものではありませんが、日本でも、次のような刑罰によって処罰することは可能になっています。

● 名誉棄損
● 侮辱
● 脅迫
● わいせつ物頒布、公然わいせつ
● リベンジポルノ被害防止法違反
● 教唆(例えば、ネット上の書き込みによって自殺を促し自殺させた場合)

以上のとおり、ネット上に特化した特別法を制定しなくても刑法の規定によって処罰することは可能ですが、刑法の規定では足りない部分についてはリベンジポルノ被害防止法のように特別法を制定する必要があります。例えば、個人情報をネット上に書き込まれた場合等に加害者の処罰を求めることは現行法上は難しいのですが、これに対して処罰を求める機運が高まれば、そのための法整備も進むものと思われます。

また、被害を受けた場合の法的対応としては、処罰を求めるだけはなく、書き込みの削除を求めたり損害賠償を請求したりといった民事上の対応もあります。ネット上の有害情報によって被害を受けた場合は、弁護士等の専門家に相談するとよいでしょう。弁護士にも専門分野があるので、このような問題を専門としているかどうかについて、法律事務所の公式サイトや弁護士紹介サイト等で事前に確認しましょう。

その他の被害救済策、予防策

被害の救済策や予防策は法的対応以外にもあります。例えば、会社名や氏名で検索したときに風評が目につきにくくする対策や、ウェブ上のセルフブランディング施策、それから、炎上の火種となりそうな投稿を拡散前に発見するためのリスク検知サービス等です。加えて企業の場合は、ソーシャルメディアガイドライン(社内向け)やソーシャルメディアポリシー(対外向け)の策定やソーシャルメディア利用に関する従業員教育、それから、実際にソーシャルリスクを検知した際に迅速かつ適切に対応できるように、ソーシャルリスク対応マニュアルやリスク管理体制を構築しておくこと等が極めて重要です。

エルテスは、企業向け、個人向け、いずれのサービスも提供していますので、お気軽にお問い合わせください。

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