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何気ない一言が炎上を招く…「失言」事件の現場

2014年01月22日

SNS上で「うっかり口が滑った」発言が、瞬く間に世間に広まり、いっせいにクレームなどが集中。ネット上では大炎上…昨今、SNS上で良く見られるようになったこの光景。当事者として考えるとそのリスクは計り知れません。企業や団体のアカウント、責任ある立場の人のコメントがやり玉にあげられ「炎上」するケースも多々起きています。

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「失言」事件とはどのようなものか?

「失言」が事件まで発展するには大きく2通りあります。

1つはtwitter、Facebook、ブログ等SNSでの不適切な発言=失言がネットユーザーの反感を買ってしまうケース。

2つ目は、Webメディア以外の企業活動や日常生活での不適切な発言が、Webメディアに取り上げられ事件まで発展するというケースです。例えば、企業の記者会見、発表会などで、役員が不注意な発言をして、それがWeb上でやり玉に挙げられる…というケースもよくあります。従来のように、「その場限りの話題」ではなく、不特定多数の人々がいる場での発表はすなわち、全世界に発言するのと同じような意味を持ってきているのです。

なお、こうした事件にまで発展する「失言」の内容で多いのは下記のようなもの。

 ・パワハラ発言、セクハラ発言

 ・他人や他企業に対する批判、悪口

 ・違法行為の告白

 ・政治、宗教、思想・信条、歴史観に関する発言 …など

事件につながる「失言」をした人物も、企業の経営トップ、役員、従業員…と、職業や地位、年齢層などに関わりなくまちまち。特に最近ではtwitterやFacebookでの「失言」による事件が増えています。その気軽さの反面、リスクがあることも意識しなければなりません。

「失言」が招いた炎上事件の例

失言が事件となってしまうのは、その発言に「悪気がある、ない」には関わりはありません。社会的な公序良俗などに反する発言、特定の人を揶揄したかのような発言、極端な意見が炎上事件を招くこともよくあります。では、その事例をいくつかここでは紹介します。

●事例1 某新聞社のある部門の公式twitterアカウントの場合

2011年、サッカー日本代表対某国代表のテレビ放映時、よくあるアカウントのように「がんばれ日本!」「シュートおしくも入らず」というような応援メッセージを、試合観戦しながら投稿。

しかし、試合観戦中、熱が入ったのか「・・・と戦っていると思って、がんばれ日本!」とツイート。(※「・・・」とはJリーグのチーム名で、赤い色のユニフォームがトレードマーク)

本人は悪気はないものの、某国に例えたことに立腹した人々、Jリーグのチームのサポーターなどから激しい批判を受けて炎上。悪意はないと容認、擁護する人もいて賛否両論起きたが、当アカウントは試合終了後、謝罪の旨をするツイートをした。

●事例2 海外宅配ピザを扱う某法人のアカウントの場合

2012年4月11日、インドネシアスマトラ島沖で大きな地震が発生。津波警報が発令され、沿岸部の住民の一部が高台に殺到。その際に、東南アジアのある国の、宅配ピザを扱う某法人がSNSにて「今夜は急いで帰宅して、地震のニュースに注意しましょう。・・・(宅配ピザ)への注文を忘れずにね。直接あなたのお手元に届けます」と、自社商品の購入を促す内容のメッセージを掲載。

これには不謹慎と批判が殺到。タイ国内の人気掲示板には「常識に欠ける」「宣伝担当者を解雇せよ」といった非難の書き込みが多数。同法人は翌日、「災害に関する不適切な書き込みについて謝罪します」とのメッセージを掲載した。

●事例3 某法人社長のアカウントの場合

某メディア記事内、ソーシャルアプリ(ゲーム)のイラストに関する発言にて。某法人社長は、「イラストサイトで絵のうまい学生に描いてもらえたら、通常よりコストを抑えてゲーム制作ができる」という趣旨の発言をする。

“学生はイラストの相場を知らないから買いたたける”という学生軽視発言として、この発言は大きく広まる。また、同社長はそのフォローとして、自身のtwitterアカウントから複数の人に謝罪のメンションを送ったが、すべて同じ内容をコピーしたものだったなど、対応も適切ではないものだった。

「何気ない発言」にこそ注意が必要

ここでは3つの事例を紹介するにとどめますが、他にも大学教授、地方自治体のキャラクターなど、企業や団体の公式アカウントの失言事件を思い出す方も多いのではないでしょうか。誰しも簡単に世界中に発信できるSNSという環境が整ったのは大いに歓迎すべきことですが、「気軽に」「何気なく」発言するにはリスクが多いメディアという側面も決して忘れてはいけません。

個人の意見のつもりが「失言」となることも多く、「思い込み」や「誤解」が、特定の人々を傷つけたり、誹謗中傷や風評被害を招くことがあります。あくまで、ネット上とは、多種多様の価値観が持つ人がいる場で、知り合いが集まっている場ではないということを認識し直すことが欠かせません。失言につながりやすいデリケートな話題は避けることも1つの対策と言えるかもしれません。

担当者にとって必要なのは、何が危険で、何が危険ではないかをマネジメントする視点です。企業はこうした危機管理の体制を社内に構築することは今や欠かせない時代。社内でよく検討するとともに、必要に応じて社外の有識者を頼ることや、専門家を通じた情報収集などを行うことも、危機管理する上で重要な対策となります。

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日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

デジタルリスク総研は、2007年からソーシャルリスクマネジメントに着目し事業を行っている株式会社エルテスによって、ソーシャルリスク総研として、2016年2月に設立され、ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいりました。そして、2016年11月にデジタルリスク総研と改称し、ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を開始しました。このサイト上では、企業に役立つ実践的なデジタルリスクマネジメントについて、定期的に情報発信を行いますので、企業等のデジタルリスクマネジメントに是非ご活用ください。

※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

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