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表現の自由にも限度がある?尊重しあえるネット社会を

2015年03月09日

民主主義の中で、重要な意味をもつ「表現の自由」。そもそも民主主義は、何が正しいかわからないからこそみんなで議論しお互いの考えをぶつけ合って、よりよいものを見つけだそうとするものです。そこでお互いが自由にものを言えなければ成り立たないわけですが、インターネットの普及により誰でも気軽に伝えたいことを表現できるようになり、その「自由」の定義や範囲が難しくなっているように感じます。顔を合わせないことで各々の主張に抑制力が働かず、「自由」だからこそ様々なトラブルが発生しているのも事実です。そこで今回は、ネットやSNS上での「表現の自由」についてみなさんがどのような意見を持っているのか、アンケートをとってみました。

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アンケート結果

【質問】

ネットやSNS上の発言についても、「表現の自由」は守られて当然である。

【回答数】

・YES:51

・NO:49

モラルと責任が伴った「表現の自由」とは

今回のアンケートでは、「表現の自由」は守られて当然だという意見と、そうではないという意見が半数ずつ分かれる結果となりました。まず、「表現の自由」は守られて然るべきという意見から見ていきましょう。

・発言内容にもよりますが、表現の自由は守られてもいいのでは。誰かを傷つけるなど、誹謗中傷や名誉毀損にあたるようなことがない程度という、暗黙のルールがあってもいいと思います。

・「表現の自由」は必要。だが、表現する側にも責任を認知し、なにかしら影響を与える事実を知った上でなければいけないと思う。

・自分がその発言に責任を持てるのであれば自由は守られるべきだと思う。無責任に好き勝手いうのは自由ではない。

・もちろん、最低限のマナー・常識あっての話ですが。取捨選択するのは、読む側。

こちら側の意見のほとんどは、「表現の自由」は守られるべきだけれど、そこには最低限のモラルと発言や投稿に対する責任が伴うというものでした。みなさん、どんな表現でも許されるという考えではないようですね。

いくら「自由」だからといっても、個人名や企業名を公開して誹謗中傷を行ったりプライバシーを侵害したりすることは、現実社会同様、罪に問われることになりかねません。

しかし、「自由」として許されるかどうかの線引きは各個人の判断に委ねられる部分が多いのが現実です。中には悪気がなく投稿した内容によって損害賠償を求められるといったトラブルも。特にネット上で一度投稿された内容は、拡散してしまえばなおさら完全に削除することが難しくなってしまうため、個人が常にリテラシーを持ってネットを利用する必要があるといえるでしょう。

また、投稿者側だけでなく閲覧者側のリテラシーの必要性を問う声もありました。たしかに、ネットを含めメディアから流される情報のよしあしは、あくまでも情報を受け取る側が自ら判断するべきものですし、「表現の自由」はその上で成立しています。ですから、問題のある投稿に対して過剰に反応しないことや、真偽が分からない情報に踊らされることなく、自分で情報を見極める能力(ネットリテラシー)をきちんと持つことが大切なのです。

ネット上の表現、ときにはルールや規制も必要?

次に、ネットやSNS上の「表現の自由」について否定的な意見を見てみましょう。

・ネットやSNSでは、行き過ぎた発言や過激な発言が目立つから。

・相手の顔が見えない場所となっているので、非常に過激な内容の場合、表現の自由は守られてはいけないと思います。

・表現の自由のなかにも、一定のルールは必要。誹謗中傷や、根も葉もない嘘はだめだし、悪意のある書き込みは許されない。

・守られてしかるべきちゃんとした発言主張ならですが、犯罪行為に近い動画投稿とかNGだと思います。

・1人1人考え方、捉え方が違う為、不愉快な言動は控えるべきだと思う。見たくなくても見えてしまう時があるから。

こちら側の意見から分かったのは、ほとんどの人は「表現の自由」を全面的に否定しているわけではなく、守られるべきという回答者同様、投稿に際するモラルや配慮が大切だと考えているということです。

しかし大多数がそれを分かっていても、相手の顔が見えないことで発言が過激化したり、閲覧者からの反応が欲しいばかりに犯罪に近い内容になりがちなのがネットの怖いところ。最近でも、Youtubeでの店頭の菓子へのいたずら動画が物議を醸したばかりですよね。

SNSや掲示板では、回答にもある通り、個人の価値観の違いを受け入れた上で発言には配慮するとともに、意見や考え方の違いに対して不必要に反論したり攻撃したりしないことが望ましいわけですが、それもヒートアップしてしまうと中々歯止めが利かなくなってしまいます。

そのような理由から、ネット上では個人のモラルやマナーに委ねるだけでなく、ある程度のルールや規制があっても仕方ないというのがこちら側の意見のようです。自由な意見が飛び交うからこそ面白味のあるネットですが、ネガティブな書き込みによって企業や個人の信用が貶められ、大きな損失につながるということがしばしば起きていますから、規制や監視についても考える必要がありそうですね。

利用者のリテラシーと個人・企業の対策、双方の努力が「表現の自由」を守る

今回のアンケートでは、ネットやSNS上の「表現の自由」について肯定的な人も否定的な人も、次のような例外を除いて守られるべきだと考えていることが分かりました。

・誰かを傷つけたり不快にさせたりする内容を書き込む(誹謗中傷)

・悪意を持って個人や企業の信用を貶める内容を投稿する(名誉毀損)

・根も葉もない噂を書き込む(嘘の情報発信)

・犯罪行為にあたる内容の投稿

みなさんが回答してくださった通り、これらの行為は大きなトラブルの元になりかねませんから、ネット上で何らかの情報発信をする際には自分の発言に責任を持たなければいけません。また、閲覧者側のネットリテラシーも大切だということは前述の通りです。

しかし、やはり中には悪意を持って嫌がらせのような内容を投稿する利用者がいるのも事実。そのような悪質な利用者から企業や自分の身を守るには、どうすればよいのでしょうか。

まず、予防策としてSNSや掲示板の監視をすることが挙げられます。悪質な書き込みや投稿を発見した際、即座に削除要請等の対応ができるかどうかで、その後の被害の大きさが決まります。そのため、発見した際の対応フローを明確にしておかなければなりません。

また、すでにネガティブな情報がネット上の目につく場所に表示されていたり拡散されていたりした場合は、善後策として、逆SEO対策や炎上対策を行うことができます。さらに、拡散によりネット上だけでなくリアルへの影響が及んでいる場合もありますから、その際にはリアルでの迅速かつ適切な対応が必要になってきます。

もちろんこれらの対策をすべて自分たちですることは難しいですから、それをサポートする会社があることを知っておくことが大切です。

「表現の自由」が適切に守られたネット環境を作っていくためにも、投稿者と閲覧者双方のリテラシーと、それを取り巻く様々な企業の努力はどれも欠くことができないのではないでしょうか。

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日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

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※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

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