
ソーシャルメディアはネガティブ情報が生まれやすい
今回のニュースが炎上した理由は、ニュースを知った人がソーシャルメディア上で批判的な投稿をしたことに起因しています。ソーシャルメディアは匿名投稿も多いため、ネガティブな情報が生成されやすい特徴があり、本ケースはその特徴が顕著に表れた例と言えます。
「これだから○○は・・・」という声が上がっていますが、これは発表内容の被害想定の甘さや、事前に噂されていた内容を否定し続けた不誠実な言動に対し、それだけ拒絶する人が多かったことを物語っています。普段、Twitterを使っている人で、どれぐらいの人がソーシャルリスクを意識して投稿しているでしょうか。大多数の人が深く考えずに思ったことをそのときの気分で投稿しているのではないでしょうか。 気軽にソーシャルメディアに声を発することができる現代だからこそ、改めてソーシャルリスクがもたらす影響について考えてみましょう。
ソーシャルリスクがもたらす影響
では、具体的にどのような影響があるでしょうか。企業に当てはめて考えてみたいと思います。
今回の例で言えば、従業員の失言に端を発します。従業員の失言を聞いた人々が思い思いにTwitter等で批判的な言葉を連ね、炎上に至ります。Twitterで多くの批判がなされれば、NAVER等のまとめサイトに集約されTwitterを利用していない人でもニュースと世論の声をまとめて目にする機会が増えます。情報の拡散です。
情報を目にした人には、企業に関わりのある人もいれば、関わりのない人もいます。どれだけの人がその情報を知ることになるのでしょうか。 失言をした従業員ひとりの声で、その企業のイメージが悪くなり、企業に関する評判が原因で、商品をつくっている企業であれば購入するお客様や取引先等による企業の評価が低下して企業が損害を受け企業価値も低下します。これが「レピュテーションリスク」と呼ばれるもので、欧米ではこのレピュテーションリスクを企業の重要資産と捉え、適切にマネジメントすることで企業価値の向上を図ろうとしています。
レピュテーションリスクが低下すると、それまで築き上げてきたブランドイメージやブランド価値の低下、役員への責任追及や退陣要求にも波及するかもしれません。もちろん取引先等との関係も悪化し、取引高の減少に繋がればやがて取引は停止せざるをえません。従業員ひとりの失言が、最悪の場合、会社を終焉に至らしめる可能性をはらんでいるのです。
ソーシャルリスクをマネジメントする
ソーシャルリスクにより、経営に重大な影響が生じることをおわかりいただいたところで、最後にソーシャルリスクをどのようにマネジメントするかについてお伝えします。何か問題が起きた際、正しく動くことができるようにするには、事前にある程度ガイドラインを作成することが大切です。緊急時はそのガイドラインに沿って動く方が効率的ですし、安心できます。ガイドラインを作成するうえでソーシャルリスクをマネジメントするためには、以下のポイントがあります。
- 自社のリスクマネジメント体制の現状確認
- 推進組織・管理体制の整備
- 諸規定の制定・整備
- 具体的な執行計画の立案
- リスク洗い出しと優先順位の決定
- 発生防止・リスク軽減のための具体的な対策の実施
- 取り組み状況のモニタリングと制度・運営の定期的な見直し
マネジメント体制が整ったのち、従業員へ定期的な研修等インプットを通して従業員ひとりひとりのソーシャルリスクに対する意識を醸成することがソーシャルリスクを最小限に止めることに繋がります。

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