
この炎上を受け、このブラジル人のタトゥー・アーティストは当該画像を削除、のちに自身のソーシャルメディアのアカウントそのものを削除しましたが、画像は既に多くのメディアに転載され、取り上げられており、全世界的な炎上に発展してしまいました。
このタトゥー・アーティストは、犬にタトゥーを入れた理由を、「癌から犬を守るため」と説明しました。しかしながら、著名な獣医が、タトゥーを入れることが癌から守ることにはっきりとした効果があることを確認することが出来ず、それどころか問題を引き起こす可能性があると発言したことも、炎上に拍車がかかる要因となりました。
今回の炎上事例からわかること
「無理のある言い訳」をすることは逆効果
炎上が発生してしまうと、自らの行為を釈明、正当化するために、やや無理のある言い訳をするケースは多く見られます。しかしながら、不適切な行為に言い訳をすると、「往生際が悪い」とネットユーザーに判断されてしまい、炎上がかえって盛り上がってしまうケースがほとんどです。
「画像」は炎上を拡大させる強力なトリガーとなる
今回のケースでは、「タトゥーを施された犬」という強烈なインパクトを持つ画像が、大炎上に繋がった一因と考えられます。仮に、このタトゥー・アーティストが、画像を添付せず、文字だけで「犬にタトゥーを施した」と投稿したとしていたら、本当に犬にタトゥーを施したのかは、その投稿だけでは判断できませんし、これほどまでの炎上には発展しなかったと考えられます。
「わかりやすい」不適切行為の場合、全世界に拡散される可能性がある
今回のケースでは、「犬にタトゥーを施す」ことが不適切行為であるということは、ほとんどの国の人々が感じる共通の感想であると考えられます。今回のケースのように、その国特有の事情や、炎上した原因の背景となる知識の共有が必要のない「わかりやすい」炎上事例の場合、炎上が全世界的に拡大する可能性があります。多くの国で事業を展開する企業の場合、一国で炎上してしまえば、グローバル展開する事業全体にネガティブな影響が波及することが考えられます。
ソーシャルメディア担当者が1人の体制の場合、注意が必要
今回の炎上の根本的な原因は、「犬にタトゥーを入れる」という行為が、少なくとも一般的な常識からは大きく逸脱した不適切な行為である、という認識が、このタトゥー・アーティストに欠如していたことに求めることが出来ます。
ここまで常軌を逸した不適切行為による炎上は、企業アカウントでは考えづらい事例であることは確かです。しかしながら、企業の公式ソーシャルメディアアカウントが、投稿文の作成から投稿までのプロセスを1人で行っているというケースは、現在でも珍しいことではありません。投稿内容の作成から、実際の投稿までを1人で行う体制は、個人でのソーシャルメディア利用と同じく、投稿内容が適切か不適切か否かの判断が担当者の常識力に委ねられてしまい、安全な運用体制とは言えません。
投稿前に、投稿内容を作成した人以外に、その内容が不適切でないか、特定の人々を傷つけるようなものではないか、といった、当たり前のことを投稿前に複数人でチェックする体制があるか、また実際に適切に機能しているか、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

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