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スマイリーキクチ氏が語る「フリマアプリの脅威と罠」

2017年05月10日

※今回は、ネット風評被害に遭った経験をもつタレントのスマイリーキクチ氏にご寄稿いただきました。

インターネットを扱う人なら、一度は利用したことがあるでしょう通販サイト。経済産業省によると2016年のフリマアプリ市場は3000億円に達したといわれています。 今、その通販サイトやオークションサイトの一部が犯罪に利用されています。スマホがあれば個人で簡単に出品することができます。その一方で様々なトラブルを抱えているのが現状です。

某大手フリマアプリでは、子宝に恵まれるなどとのうたい文句で、妊娠米という物が出品されていました。「現在妊娠中 妊娠菌のお裾分けです」と書かれて500円で販売していた妊娠米。写真とともに効果などの説明もありますが実際に医学的な根拠は何ひとつありません。うちも長い間、不妊治療をしていたので辛苦はわかります。だからこそ、そうゆう人の心を弄ぶような商法は許せない気持ちになってしまいます。

他にもフリマアプリではお札を折り紙のように加工したものが出品されていました。資格もない人が現金を売るのは貸金業法に該当する恐れがあります。いろいろなフリマアプリを閲覧していると法律ギリギリアウトの物も数多く出回っていました。

個人で出品する際、周囲で助言をしてくれる人がいないと、全て自己判断で品物を見定めなければいけません。貸金業法以外にも薬事法などの法律が存在します。例え本人に悪気がなくても、問題が発生して自らの出品物が犯罪になると認識した例もあります。万が一、警察に捕まって「他の人も同じようなものを出品しているから」という言い訳をしても通用しません、それが現実です。

泣き寝入りする金額、あなたならいくらぐらいですか?

某通販会社では詐欺や不正アクセスによる被害が相次いでいます。僕の知り合いも詐欺の被害に遭ってしまいました。詐欺行為はれっきとした犯罪ですが現実的な話しをすると高額な被害じゃない限り、警察も重い腰を上げません。

被害額が1万円以下だった場合、自分で解決しようと思って弁護士に告訴状を作成してもらい、お金と時間を費やしたところで、警察が捕まえる保証も、騙された金額が返金される保証もありません。結局は泣き寝入りするしかないんです。最近はネットショッピングの詐欺被害に遭われた方からの相談を受けることがあります。話を聞いていると被害額の相場はだいたい1万円以下の人が多いです。

泣き寝入りの相場、このギリギリのボーダーラインを超えないように詐欺グループは騙す金額を設定しているように思います。 被害は騙されるだけでは済みません。自分の知らぬ間に何者かがアカウントを乗っ取り、商品を勝手に1円で出品しているからです。これは落札者から請求されて、事の顛末を知ることになります。出品者と購入者のどちらも被害に遭うといった事例です。

購入者の被害は品物をクレジットカードで決済して、発送済みとなったにも関わらず、一向に商品が届かず、不安に感じて出品者に問い合わせをしても通じず、その連絡先もわかりません。

実際某通販会社の利用規約では90日以内であれば30万円までの返金保証をしてくれます。しかし、本当の被害は名前や住所、クレジット番号が盗まれたことです。第三者に悪用される危険性があります。騙す側はお金より個人情報に価値があるので、情報が本来の目的だったかもしれません。

騙されないために注意すること

騙されないために覚えておくことは、まず不自然な値段設定です。価格が1円など不自然に安い場合や、高級ブランド品が昨年のモデルにつき90%オフ、30万円のバックが3万円等。そんなうまい話はあり得ないでしょう。

女性をターゲットにした騙す手口は、だいたい定価が1万8千円前後で人気のある洋服やバック、化粧品やアクセサリーなどの小物類を下調べした上で、半額ぐらいの料金設定で出品している場合があります。また人気商品がどのサイトでも品切れでプレミアも付いているのに定価で販売している場合など。ただサイトの商品説明を読むと、ところどころ日本語がおかしかったりします。警戒するのは新規出品者だったり、海外からの出品者です。海外だから時間がかかるとか面倒だからという理由で被害者は諦めがちになる、その弱点をついてるんです。実際には良心的な出品者と何ら変わらず出品しているので、詐欺の見極めが非常に難しいです。

サイトを運営する側も、どんなに監視の目を光らしても現状はイタチごっこですからね。 騙す側は、どうやってお金や個人情報を奪うか、本気で考えています。それを踏まえた上で守る側もセキュリティーに対しての意識を持つ必要があると思います。

スマホの普及がフリマアプリの進展に大きく関わったのでしょう。 ひと昔前、女子中高生の使用済みの制服や体育着、下着などを販売していたブルセラショップ。今ではその名も姿を同時に消えた気がします。中高生が親に内緒でフリマアプリに直接出品するような時代になりました。以前はショップという仲介業者が存在しましたが、アプリの場合は個人同士のやり取りなので、匿名での発送が出来ないアプリの場合は名前や住所などの個人情報が買い手側に筒抜けになる危険性もあります。ストーカーなどの危険な存在を売り手側は深く考えていません。

絶対に安全な通販サイトは存在しないと思った方が良いです。手軽さと便利さを兼ね備えていますが、相手の顔はわかりません。出品者と購入者だけでなく、騙す人と騙される人、それを操る人、この構図が成り立ってしまいました。今のネット社会において、何かしらのトラブルに巻き込まれるリスクは至る所に点在しています。その宿命と覚悟をしなければいけません。

スマイリーキクチ氏のTwitterはこちらをご覧ください。
https://twitter.com/smiley_kikuchi

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日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

デジタルリスク総研は、2007年からソーシャルリスクマネジメントに着目し事業を行っている株式会社エルテスによって、ソーシャルリスク総研として、2016年2月に設立され、ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいりました。そして、2016年11月にデジタルリスク総研と改称し、ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を開始しました。このサイト上では、企業に役立つ実践的なデジタルリスクマネジメントについて、定期的に情報発信を行いますので、企業等のデジタルリスクマネジメントに是非ご活用ください。

※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

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